聖夜のプレゼント #2

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 美姫は、秀一のエスコートでカウチに座った。  秀一がテーブルのすぐ傍に立ち、ワインクーラーからシャンパンボトルを抜き取り、白いタオルで濡れたボトルの部分を拭き取る。シャンパンのキャップシールを切り取り、ボトルを少し斜めに傾け、コルクの上部を親指で抑えながらワイヤーを外す。コルクをしっかりと固定したまま慎重にボトルを回していき、手応えを感じた瞬間コルクとの隙間からガスが抜ける静かな音が聞こえた。  慣れた様子で片手でシャンパンボトルを手にし、斜めに傾けてシャンパングラスにゆっくりと注いでいく。完璧な位置で止めると、もうひとつのグラスにも注ぐ。  まるで一流のサーバーのような流麗な一連の所作に、美姫の唇からは溜め息しか出ない。  先程までは大観衆の前に立ち、皆にパフォーマンスを見せていた秀一を、自分が今独占しているのだと思うと、美姫は戦慄に似た興奮を感じていた。
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