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秀一が美姫の隣に座り、シャンパングラスを渡した。
『メリークリスマス……』
見つめ合いながら、お互いのシャンパングラスを重ねる。
シャンパングラスを傾け、琥珀色の液体を口に含むと泡が弾けて鼻腔にまで芳ばしい匂いと味が広がっていく。
秀一はカウチの縁に躰を預けてシャパングラスを硝子テーブルの上に置き、引き締まった腕で美姫の肩を優しく抱き寄せた。昨夜バスタブでしたように背中から抱き締められ、美姫の心臓はもう壊れそうなくらいに脈動を打ち、息苦しさまで覚えた。
秀一は長い脚を伸ばし、その間に華奢な美姫の躰を挟んだ。
そっと美姫が秀一を見上げると、フレーム越しのライトグレーの瞳が細められ、愛おしげに見つめ返している。
そんなひとつひとつの仕草に、胸がキュンと絞られるような甘い痛みを覚えた。
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