聖夜のプレゼント #2

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 秀一は美姫を柔らかく胸に抱いたまま、瞳を閉じ、眠っていた。美姫の胸がキュンと高鳴った。  眠ってる秀一さんを見たのなんて、初めて……  いつでも秀一は、美姫より遅く寝て、早く起きる。美姫は今まで、秀一の寝顔を見たことが一度もなかった。  ドキドキと高鳴る鼓動を胸に、美姫は秀一の顔をじっと覗き込んだ。瞳を閉じた瞼に睫毛が影を落としている。唇は穏やかに結ばれており、安らかな表情を浮かべるその顔は、心なしかいつもよりも若く見えた。  睫毛、長いな。こうして見ていると、本当に美しい顔立ち……  美姫は慎重にシャンパングラスをテーブルに置き、背中を向けていた躰の向きをゆっくりと反転させた。秀一が無防備に寝顔を見せていることが、嬉しくてたまらない。
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