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秀一さんは穏やかな表情を見せている時も、隙がない。
こんなに安心しきって眠る秀一さんが見られるなんて。
ーー私にとっては、これが一番のクリスマスプレゼントかもしれない……
美姫は少し顔を上げ、秀一の唇に自らの唇を慈しむように柔らかく重ねた。彼の胸に頬を寄せ、おずおずと手を伸ばすと艶やかな黒髪に触れ、そっと撫でた。
「メリークリスマス、秀一さん……」
囁くような声で伝えると、美姫はゆっくりと瞳を閉じた。
規則正しい秀一の鼓動を聞いているうちに、落ち着きなかった心臓が彼のものと共鳴するようにゆっくりとなり、安らかに美姫を眠りへと誘う。
空から降る綿雪はテラスの手摺りや藤製の硝子テーブルやチェアにまで降り積もり、一面を銀世界へと変えていった。
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