舞踏会 #2

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 ダンスホールのある階上へと秀一のエスコートで上がると、そこはまた別世界だった。  舞踏会のダンスホールはピンクがかった紫にライトアップされ、天井には丸い球のモニュメント。一番奥には大きな円形の看板に「Hofburg Silvester Ball(ホーフブルク大晦日舞踏会)」とあった。その看板の下には真紅の絨毯で敷き詰められた舞台があり、オーケストラが演奏している。  ダンスホールは、まさにすし詰め状態だった。  「凄い、人ですね……」  美姫が圧倒されながら呟くと、秀一はフフッと笑みを溢した。  「ウィーンだけではなく、世界中からこの舞踏会に参加する為に集まっていますからね」  秀一は腕時計に視線を落とし、今度は舞台へと顔を向けた。  「もうそろそろ、始まりますよ」
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