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オープニングのファンファーレが鳴り響き、ダンスホールにいた人々が中央から端へと移動し始めた。
秀一の言葉を受けて美姫がダンスホールの中央へと目を向けると、暗かったそこにスポットライトが当たると同時にウィンナ・ワルツが流れ、舞台の端から男女のグループが現れた。美姫と同じように女性は純白のドレスに白いカサブランカの髪飾りをつけ、男性はタキシードを身に纏っている。
華麗な音楽に合わせてドレスがくるくると回り、次々に男女が入れ替わりながらステップを踏んで踊るカドリーユのダンスに、周囲の視線が引き込まれていく。
これが終わると、デビュタントの披露となる。
「さぁ、私たちもお披露目の時間ですよ」
秀一の声に美姫は頷くと、緊張で引き攣りそうになる顔に掌を当てた。
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