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舞踏会 #2
「申し訳ありません。
貴女が泣き虫だということを、考慮していませんでした」
少し揶揄するように笑みを見せ、秀一はスッと立ち上がると燕尾服のジャケットの胸ポケットからハンカチを取り出し、美姫の目尻の下にそっと当てた。
「す、みま……ック」
美姫はせっかくのメイクが崩れないように上を向き、必死に涙を止めた。
美姫が落ち着いたのを見計らって秀一が彼女に腕を差し出した。
「では、行きましょうか、プリンセス」
「えぇ」
腕を組み、向かうその先。
ーーそこには、幸運の光が待っているような期待に満ち溢れていた。
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