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認めて、なんて言いません。
許して、とも言えません。
どうか。どうか、何も言わず……そっとしておいて下さい。
お願い。
お願い、ですから……
藁にもすがる思いで父を見つめる。
重く、長い沈黙がこの空間を支配する。
時計が秒針を刻む音、エアコンの室内機の音、自分の呼吸の音。普段意識することのない僅かな音ですら、鼓膜を震わせ、やけに大きく響いて聞こえる。
「……だめだ。許すことは、できん……」
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