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露呈 #2
娘への愛情を振り翳し、訴えてくる父に、美姫は激しく動揺した。父を、母を裏切る背徳感と罪悪感で心が圧迫される。
だが、美姫は……秀一に包まれた手の温かさを手放すことは出来なかった。
「お父、様……ごめん……ごめんなさい。
私は……秀一さん以外の人は、愛せないんです。彼と一緒にいることが、私の幸せなんです。
今の私には、秀一さんの存在なくしては生きることさえも出来ないんです。
どうか、分かって……」
結婚できなくてもいい。
子供が産めなくてもいい。
普通に考えられる「女の幸せ」を感じることは出来なくても、秀一さんさえ傍にいてくれれば、それでいい。
美姫は、精一杯の自分の気持ちを伝えた。
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