自責の念

1/8
前へ
/35ページ
次へ

自責の念

 「ピンポーン」という音と共に扉が開くと、エレベーターホールの奥に大きなドアが立ち塞がっていた。そこはロック式の自動ドアとなっているため、一般者は許可なく立ち入りできないようになっている。  特別扱いを嫌う誠一郎だが、今はマスコミに追われている身だ。プライバシーを確保するためにも、特別室の手配は必要な措置だった。  そこは先ほどまで歩いていた病院内と同じ建物とは思えないほど、雰囲気がガラリと変わっていた。病棟というよりは、高級ホテルのような佇まいで、扉を抜けた先にある天井まで一面ガラス張りになった窓からは、周りの景色が一望出来た。廊下には穏やかなBGMが流れ、壁には自然画が飾られている。  凛子と美姫以外には誰も廊下を歩いておらず、まさにプライベート空間であった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加