自責の念

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 美姫は付き添い人用の和室の畳の上で膝を抱え、一点を見つめていた。けれど、その視線は何かを見つめるというよりは、何も見つめていないと言った方が正しかった。  私がお父様を、死に追いやったんだ……  お父様の愛情に背き、秀一さんを選び、失踪したために。  お父様は私の裏切りにショックを受けながらも、来栖財閥のトップとして、危機的状況に陥った財閥を救わなければならなかった。たくさんのストレスを抱えながら、奔走しなければならなかったんだ。  あんなに痩せこけ、一気に白髪が増え、心不全を起こしてしまうほどに……  私はその間、お父様がどんな状況にあるかなど理解しようとも、考えようともせず、秀一さんとふたりだけの世界で、苦しみから逃れることしか考えていなかった。楽しいことだけ、幸せなことだけ考えようとして、全てから逃げ、忘れようとしていた……  あそこが私たちにとって桃源郷でなくなってからも、それに必死にしがみついていた。  お母様が迎えに来て、お父様の危篤を聞かされてさえも、秀一さんと離れることなど考えられなかった。お父様に会ってから別れを告げ、3日後に秀一さんとウィーンに発ち……また全てから逃げ、新たな生活を始めようと考えていた。  私は、なんて酷い娘なの......
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