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美姫はそれから一晩中泣き続け、悩み続けた。
頭の中をぐるぐると様々な思考が渦を巻き、混乱し、掻き乱され、不安に慄きながらも……やがて、ようやくひとつの決断に辿り着いた。
秀一さんと、私の為にも……
お父様、お母様、そして財閥の為にもこうするしか、ないんだ。
重い躰を引き摺るようにして、美姫は立ち上がると和室を出た。
誠一郎のベッドに倒れかかるようにして眠っていた凛子が、ふと自分に向けられる気配を感じて頭を上げると、そこには深刻な表情で自分を見つめる美姫の姿があった。
「お母様に、お話したいことがあります……」
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