愛憎の果て

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 ガルフストリームG550は、「プライベートジェットのロールスロイス」とも呼ばれ、政治家、芸能人、企業家のみならず、各国政府・軍の要人輸送機として幅広く使われている。  入ってすぐに黒大理石の天板が張られたバーカウンターが設置してあり、世界中から取り寄せた銘酒が所狭しと並べられている。そして、左側には重厚感のある大きなベージュの革張りの長ソファが占めていた。  そこに美姫は、愛しい人の後ろ姿を認めた。  長く美しい脚を投げ出し、梨型とも女体とも思えるような形の小ぶりのグラスを手にしている。その横には、フランスの高級ブランデー・コニャック『ルイ13世 ブラックパール』が置かれていた。    美姫の気配に気づいた秀一が振り返り、グラスを傾けて微笑んだ。  「美姫、待ち詫びていましたよ」
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