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秀一が美姫の手を取り、引き寄せる。
「では、美姫も一緒に来てください。貴女なしではピアノを弾く事など、出来ません。
貴女が来てくれるのであれば、私は世界が誇る一流のピアニストになることをお約束しましょう」
美姫は掴まれたその手を、もう一方の震える手で弱々しく押し返し、込み上げる嗚咽を飲み下した。
「わた、しは……行け、ません」
「なぜ!?なぜ、なのですか!?
叔父と姪の禁忌の関係?フッ、そんなことなど、世間に言わせておけばいいのです。私は、周りの戯言など気にしません。貴女が傍にいてくれれば、どんな非難や批判だって受け止めてみせます」
秀一は美しい顔を歪め、美姫の両腕を強く掴んだ。
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