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秀一が、美姫の手を掴む凛子の手を跳ね除けた。
「美姫。私たちは全てを捨てる覚悟でここに来たことを、覚えているでしょう?
今までの生活も、仕事も、家族も、何もかももう、捨てたのです」
秀一の言葉に、凛子へ寄り添おうとした美姫の足が止まる。
そうだ、私は何もかも捨てる覚悟でここに来た。
今更もう、戻れるはずない……
美姫は潰れそうな胸の痛みと共に、拳をギュッと握り締めた。
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