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凛子はそれでも美姫の両腕を掴み、必死に訴える。
「美姫!あなたがそんなこと出来るはずなんて、ない!あれほどあなたを愛してくださる、あなたが愛する父親を見捨てられるはず、ないでしょう?美姫、どうか私と一緒に来て。誠一郎さんには、あなたが必要なの……」
秀一が凛子の両腕を引き剥がし、美姫と凛子の間に立ちはだかった。美姫の肩に手を回し、凛子に背を向けたまま言い放つ。
「話は終わりです。どうぞお帰り下さい。
兄様がどうなろうと、私たちには関係のないことです」
凛子が、秀一の肩越しに悲痛に叫ぶ。
「美姫!美姫!お願いよ!!誠一郎さんを救って!!お願い。あなたしかいないの、あなた……しか……ッグ」
美姫は、自分を見つめる秀一と凛子を前に立ち尽くした。
どう、したら……いいの……
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