11人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
叩扉《こうひ》 #2
凛子はそんな秀一の声には耳を貸さず、肩越しに大声で美姫に呼びかけた。
「美姫!美姫!そこにいるのでしょう?話をしたいの。お願い、出てきてちょうだい!」
懐かしい母の呼び声に、心臓が早鐘を打ち鳴らす。だが、美姫の足はそこから動くことはなかった。
たとえお母様がいらしても……私にはもう、ここ以外にいられる場所などない。
秀一さんと、離れることなど出来ない。
最初のコメントを投稿しよう!