叩扉《こうひ》 #2

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叩扉《こうひ》 #2

 凛子はそんな秀一の声には耳を貸さず、肩越しに大声で美姫に呼びかけた。  「美姫!美姫!そこにいるのでしょう?話をしたいの。お願い、出てきてちょうだい!」  懐かしい母の呼び声に、心臓が早鐘を打ち鳴らす。だが、美姫の足はそこから動くことはなかった。  たとえお母様がいらしても……私にはもう、ここ以外にいられる場所などない。  秀一さんと、離れることなど出来ない。
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