愛憎の果て #2

7/13
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
 秀一が後ろを振り向く前に腕を拘束され、白い布が口を覆った。  「ッ……」  同時に胸を突かれ、息苦しくなった秀一は大きく息を吸い込み、クロロフィルムを嗅がされた。  意識が朦朧とする中、秀一の視界に映るのは涙を浮かべた美姫の姿だった。  「秀一さん……ごめんな、さい……」    秀一は美姫に手を伸ばそうとするものの、それは彼女に触れることなく、力なくだらりと床に落ちた。  「美姫さん、大丈夫ですか?」  黒ずくめの大男の後ろから、か細い声が聞こえた。そこから顔を出したのは、秀一のマネージャー、上條智子だった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!