プロローグ

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ヒシュベル王国の外れの森の奥。 ここには数々の悪名が国内外に知れ渡る魔王が住んでいた。 誰もが想像し得る様な、暗く、薄気味悪い森の奥……。とは、ここは程遠い場所。 森の奥の拓けた場所で、陽の光りを浴びて煌く湖の畔に彼の魔王の屋敷は建っていた。 豊かに肥えた大地に根を張る草木は青々と生い茂り、その枝に留まって伸び伸びと羽を休める小鳥たちの鳴き声は、まるで歌っているかの美しい。 そんなある日、書斎で読み物をしながらついうたた寝をしながら、ふと魔王は異変に気付き目を開けた瞬間--。 『ギャァァァッ--』 地を割るような大きな揺れがしたのとほぼ同時に、空が割れんばかりの何ものかのうめき声が響く。 (--はぁ、めんどくせぇなぁ……) 魔王はそう心の中で呟き、不機嫌そうに眉間に皺をよせながら、そっと席を立ち屋敷を出る。
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