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【さいなら~】
オバは、それら画鋲を透明の車道へとばら撒いた。
チャリィにトドメを刺したであろう凶器を、証拠隠滅の意を込めて奈落の底へと葬り去ったのだ。
【いらんくなったモンは、こうやって供養するんやで。よう覚えとき~】
――ビュウウウウ……
凶器を飲み込んだ奈落の底からは、微熱を孕んだ強い風が吹き返る。
「貴様がやったのか?」
勇次、質問する。
その声は憤りを帯びている。
チャリィを殺害した真犯人が目の前に現れたのだから、無理もないだろう。
【せやでー!】
オバ、白状する。
人を小馬鹿にするかのごとく、あっさりと容疑を認める。
その極悪な笑顔は、「むしゃくしゃしてやった」と言わんばかりのものであった。
【あんたらの役割も、今日で終わらしたろかー?】
元気な声で暴言を畳み掛けるオバ。
その場をつつむ空気は、禍々しく歪み始めていた。
「やれやれ……朝から憂鬱な気分だぜ」
勇次は、《アルト=リコーダー》を装備した右腕と《ランド=セル》を装備した左腕を構え、戦闘準備を整えた。
そしてパートナーに呼びかける。「いくぞ、ユカリ!」
「ええ!」
ユカリも、持っていたスクールバッグを右肩に通し、両手を構える。
「今日は絶対に負けないんだから!」
対峙する敵を見つめる二人。
間にあるのは、透明拘束道路『奈落ジャンクション』――。
その横断を賭けた戦いが、いま、始ろうとしていた。
『SCHOOL SURVIVAL@3800』
MISSION1:奈落ジャンクション横断セヨ
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