奈落ジャンクション横断セヨ

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奈落ジャンクション横断セヨ

『おはようございます!!』  まず二人は、声を揃えて敵へ挨拶をかました。  現代の「おはようございます」は、単なる朝の挨拶などではない。「お手合わせ願います」というような意を持った、戦いの礼儀である。 【おはようさん。ほな、はじめよか】  オバ、快諾する。  手にしていた横断旗を突き出し、精神統一を開始―― 【ハアアア~】  その闘争心に呼応するかのごとく、黄色だった横断旗は、古代職業『闘牛士』御用達の真紅色へと塗り替えられる。 【赤信号じゃ。ここは通さへんで】  かくして、戦いのゴングは鳴らされた。  ――パアッー!!  奈落ジャンクション内に、七台のクルマリオン(※産業廃棄物となって散っていった自動車の最終進化形態。オカルトエンジン搭載の暴走車両)が突如出現!  宙に浮く七台のクルマリオン。  当然のことながら、それらの操縦権(ハンドル)は全て、全てオバによって握られている。 【無面虚運転・自動人形撃(クル=マ・タ・ドール)!!】  難解な技名を叫びながら旗を振り乱すオバ。  その動きに煽られ、七台のクルマリオンが次々に歩道へと飛び出した。  それらは、大量の二酸化炭素(シーオーツー)(まと)いながら、ちっぽけな二人の身体へと襲い掛かる。
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