奈落ジャンクション横断セヨ

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【あほんだらあっ! そんな時代はもう終わったんじゃ!】  オバ、反論する。  オバも、300年に及ぶ豊富な人生経験を踏まえ、高らかに叫んだ。  (いわ)く、手を挙げて横断歩道を渡る時代など、とうの昔に終わりを迎えた。  通学そのものが命がけの現代において、いまの大人たちは皆こう諭す。 【横断歩道には近づいたらあかんっ!】  それほどに現代の学校は、子どもたちにとって危険に満ちている。 【毎朝口すっぱくゆうとるやろうが! えーかげんわかれや! はよオウチ帰れ!】  ゆえにオバ=チャンは、その通学を阻止したい。  しかし、誰かが学ばなければ、日本の未来を救うことはできない。 「黙れ! 俺たちは学校に行く!」  勇次とユカリは、その歩みを止めない。  最先端の宇宙開発スキルをその身に叩き込み、人類を次の段階(ネクスト・ステージ)へ運ばんとする意志と、覚悟が、彼らにはあるのだ。  かつての偉人は言った。 『よく遊び、よく学べ』  かつての教育MAMAたちは言った。 『夕方までには帰ってきてね』  現代のオバ=チャンは言う。 【学校へ行ったらあかんっ!!】  そう。  オバ=チャンにとっては、子どもたちの安全が最優先。  無重力、無酸素――危険な宇宙訓練が課せられる学校へ通うことなど言語道断。  オバ=チャンにとっては、日本の未来などどうでもよいのだ。
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