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「心配するな! 俺が傘を創る!」
一方で、勇次の備えは万全だった。
勇次は、左腕で七台のクルマリオンを抑えながら、右腕に装備していた超音波式光線銃――《アルト=リコーダー》の銃口に、ふうっと息を吹き込む。
「ソプラノ・モード、解除完了!!」
すぐさま右腕を空へと向け、デブリトレインへ焦点を当てる。
すると、対象を捉えた《アルト=リコーダー》の銃口から一筋の閃光が放たれた。
『雨止光!!』
打ちあがった閃光弾は、勇次の叫びに応じて一気に拡散、波状。
虹色に煌めく光が、傘の構造を擬態する。
――ガタアアアアンッ!! ゴトオオオオンッ!!
デブリトレインは、フロントガラスを飛散しながら光子のバリアと正面衝突。
勇次の創り出した傘により、降り落ちる路面電車が塞き止められたのだ。
「よ、よかったあ……」
安堵するユカリ。
しかしまだ横断は終わらない。
「踏切チャンス到来だ! 一気に行くぞ!」
乱反射する光の中、二人は歩みを続ける。
前方には七台のクルマリオン、頭上には巨大なデブリトレイン。
計八台の暴走車両を受けながら、抑えながら、勇次は尚も横断を続ける。
「いってらっしゃああああああい!!」
自らの精神に、全力のエールを送りながら。
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