奈落ジャンクション横断セヨ

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【くそっ、誕生日いつや!?】  オバ問う。  対するユカリは、その問いを既読スルーしながら必殺技の準備を進める。 「3G(スリージー)電波、解放! メール本文、作成開始!」  バリサン状態を維持しながらブラインド・タッチを繰り返すユカリ。  対するオバは焦燥を続ける。 【誕生日いつやねん!?】 「教えないよーだ!」  意地悪をするユカリ。  しかし、口ではそう言いながらも、《ガラパゴス=テレフォン》のブルーライト画面には、『12月08日だよ(はあと)』という丁寧な回答がつづられている。  そんな言葉にできない想いを乗せて、ユカリは送信ボタンをプッシュした。 『乙女限定・E・直通便(ダイレクト・メール)!!』  ユカリの放つ高周電波が、オバの体内を駆け巡る―― 【あかんっ! お通じがっ!】  オバの内臓に、異常ステータス《フクツウ》を付与。 【こ、これはあかんやつや!】  オバ、たまらず横断旗を手放し、自らの下腹部へと手を伸ばす。  さする!  ――ビュウウウウッ!!  その刹那、奈落から吹き荒れる風によって横断旗がさらわれる。 【あかんっ!! 完全にやってもうたっ!!】  動力源を失ったクルマリオンたちは、たちまちその勢いを失った。  デブリトレインも、バランスを崩して奈落の底へと下り始める。 【オーマイガッドネス!!】  オバ、放心する。  大きく大きく股を開き、両手で頭をかきむしった。  かきむしった!
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