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通学に犠牲はつきものである。
言うなればそれは、成長していくうえでの通過儀礼。
日本の未来を担う強い大人になるためには、全てを受け入れなければならない。
(たとえ仲間を失っても、俺は前に進まなくてはならない……)
勇次は静かに立ち上がる。涙を振り払い、再び前を向く。
「チャリィ……」
しかし、その一歩を踏み出すことはできなかった。
勇次の全身に、チャリィとともに過ごしてきた青春の思い出が、鉛のようにまとわりついてしまっているのだ。
「か、過去に縛られる人生は嫌だあっー! 俺は学校に行くぞおおおお!!」
勇次は、その場で地団駄を踏んだ。
その足さばきは、過去と決別し、未来へ進むための大切なステップ――
そう。
まさに今、勇次は大人への階段をのぼっている最中なのだ!
「……あんた何してんの?」
ステップを踏む勇次のもとに、少女現る。
紺色のスクールバッグを肩に下げたこの少女は、勇次の数少ない同級生のひとり、夢町ユカリ、17歳。
西暦2000年代前半の古代文化ファッションに強い憧れを持っており、紺色のブレザーにミニスカートという時代遅れの女子高生ファッションをしているちょっと変わった女の子である。
小柄な身長152センチ、痩せ型体重48キロ、セミロング黒髪、ホワイトお肌、高い鼻筋を軸とした左右対称の大きな瞳に柔らかい唇などなど、当時魅力的とされた要素を完膚なきまでに体現している。胸元を青いリボンで飾るなど装飾品についてもぬかりがない。
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