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『12月6日生まれのあなた』
いつもより早く目覚めてしまった俺は、友人に借りた「365日占い」という本を読んでいた。
自分の誕生日のページに、今年の運勢が365日分、事細かに書いてある本だ。
どうやらこの本がよく当たると、世間を騒がしているらしい。
「えーっと、俺の今日の運勢は...。」
今日の日付の欄を指で辿る。
「エッ!」
俺は、思わず声を上げてしまった。
『今日は特別な日です。』
...どうやら、今日の俺は特別らしい。
占いをそんなに信じる方ではないけれど、俺は特別という言葉に胸を躍らせて、会社に向かった。
会社に着くと、俺が一番可愛いと思っていた美咲先輩からの視線を感じた。
...やはり、今日はいつもと違うな。
俺は、必死にニヤニヤする口角を抑えた。
「み、美咲先輩!おはようございます!!!!」
すると、美咲先輩はクスッと笑った。
「今日寝癖すごいね。」
...えっ。
なんだ、視線の先はこの寝癖だったのか。
俺は心底がっかりした。
その後もいつも通り...いや、いつも以上にミスをかまして仕事を終えた。
上司にも怒られ、美咲先輩にも笑われ...なんだよ!
別に特別でもなんでもないじゃないか!!!!
帰り道、俺は今にも叫びそうだった。
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