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そんなところに、いつも行列ができている占いのお店『moon』が目に入った。
今日は、平日だからか全然並んでいなかった。
いや、また占いに頼るのもなぁ...と思いつつも、俺の足は『moon』に向かっていた。
「あの...まだ開いてますか?」
恐る恐る薄暗い店内に入ると、ちょっと胡散臭そうなおばあさんがいた。
「どうぞ...。」
おばあさんの前に座ると、おばあさんは目の前の水晶玉に手をかざした。
また、なんとも胡散臭そうな...。
「何が知りたい?」
おばあさんが唐突に質問した。
「えっと...俺、今後どうなるのかなぁって...。」
何も考えてなかった俺は、咄嗟に言った。
もっとちゃんと考えてくるべきだったな...と、後悔した。
おばあさんは軽く息を吸って、水晶玉を撫で始めた。
こんな占いが、当たるのか...?
しばらくして、おばあさんは眉を顰めて言った。
「お客さん...。
悪いけど、今後も何も...あなた、昨日死んでいるはずだよ。」
...え?
俺は思わず言葉を失った。
『今日は特別な日です。』
頭の中で、本に書いてあった一文が蘇る。
『今日は特別な日です。』
...ああ、そういうことか。
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