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ネズミ色
「なんだか汚い色の鳥ね。全身灰色・・・というよりネズミみたいな色ね」
「ええ、本当に。なんだかネズミ色の鳥ってパッとしないのよ」
「灰色とかネズミ色とか、こうどんよりした色で私はあまり好きじゃないわ」
「うん、わかる。そしてほら、あの人、なんだかネズミ男みたい」
「プッ、ヤダ・・・でも確かに・・・」
そんな会話をしながら二人の女性は私の前を過ぎていった。
一応最後は声をひそめていたようだが、幸か不幸か私の耳にはしっかりネズミ男という言葉は届いていた。
一瞬ムッとするも気にするだけ馬鹿馬鹿しい。
私はご婦人方の後姿を一瞥すると、再びカメラを構えた。
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