三幕

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三幕

妙な構えだ…十兵衞はジリジリと摺り足で 間をはかる 「おどろいたの!景色も変えるちょわ」 竜馬は辺りを見回すのをイライラしながら土方は言葉を発した 「おまえの同郷が試合してんだぞ 、ちっとは真剣に見れんのか」 竜馬はハハと笑うと懐に手を入れ二人を見始めた 「…変わった構じゃ」 一方で宗矩と兵庫助たちも二人の強者を見つめていた 「ふん邪道じゃ! あやつと知り合いの、あの野良犬たちも剣術のなんたらも、わかっておらんじゃろ」 宗矩は歯をギリギリと鳴らす 「じゃが十兵衞が飛び込めんでおる… あれで足を払われたら、おしまいですからな」 兵庫助の言葉に 「足を払うだと…武士の風上にもおけん所業じゃ」 宗矩は向き直り目をむくが 「叔父上。 まだ、わかってらっしゃらないようで。 これは試合ではなく死合い、勝てば良いのですよ」 その言葉に宗矩は何も答えず二人の様子を見守った
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