陽だまりに微睡むような

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 リンは最初、懸命にリーリヤに尽くそうとした。それこそ、家の手伝いなどの体力が極端にないリーリヤには喉から手が出るほどほしかった手伝いから、魔法の使えるリーリヤにしかできようのない、リンの手を必要としないことまで。  幼い子が健気に自分の役に立とうとする姿は、嬉しいよりも微笑ましいよりも、どこか痛々しくも見えて。 「リン、そんなことをしなくてもいいわ。あなたはただここにいればいいの。私がしてほしいことがあったら、そのときにお願いするから……」 「……っ、」  だからこそ、その好意に背く形の答えを返してしまうこともあるのだが、そのときにリンが向けてくる(つら)そうな――まるで自身の存在意義を見失ってしまったかのような顔に、リーリヤはまた胸を痛めることになってしまう。 だから、必ず言うことにしている。 「安心して、あなたがいらないことなんて、決してないから。あなたには、私を守るという大きな仕事をいつもしてもらっているんだもの。あなたは、私にとってかけがえのない存在なの」  膝を(かが)めて、視線を合わせて、深く、魂に刻み付けるように念入りに伝える。  そうすると、少しではあるけれど、リンは安心したような顔をしてくれるのだ。それで多少はリーリヤの心も救われている。しかし、時折考えてしまうのだ。  どうしたら、伝わるのだろう?  リンの存在によって、誰よりも自分が救われているのだということを。  リンがそこにいてくれるだけで、彼が幼くも無垢な微笑みを向けてくれているだけで、数えるのも疎ましいほどの夜を過ごした孤独の時も癒されているのだということを。 「だから、リン。どうかそんな顔をしないで? あなたには笑っていてほしいの。何よりも大切な、私の――――」  その先にどのような言葉を付け足すべきか、リーリヤには適切な答えを出せずに終わってしまったが、いつかはそれも見つけたい、と。  リンとの日々をしっかりと(いだ)きながら、そう思った。
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