砂城の露

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白石城…徳川幕府体制で、数少ない家臣に築城を許された。片倉の城である。 「で、キクキリは?まさか置いて来た訳でも?」 呆れている。 「はぐれたとしかわからない…。俺が自分の事はさっぱりなのは、よくご存知でしょうよ!?」 仏頂面がますますの重みをます。 「まあいいか…。果心でも、前でも同じような頭だし…。」 要件を言わぬまま、片倉重長は追い払った。場を考えない登場の仕方に、違和感がある緊急な場合、追い払っても、直ぐに…湧いて来る。鬼と呼ばれた男はそう予測していた。 「まだ、あれと繋がって居たのか…。」 腹の底から…クツクツと笑った。ゼンには見えぬ何か手がかりを重長は見て居た。 「まあ精々励んでくれ俺には、手出し出来んからな…。」 相変わらず手強い相手に、前は溜め息をつくしかない。 「弥三郎が、絡んで居るなんてねーよな?」 「シゲザネがあっちこっちに湧いているとだけ教えておこう…。後は自分で考えろ!!」 前の容が薄くなり…片倉の城から消えた。 「慎重に動いて貰わんと、あの小僧は命を断ちかねんぞ?でかいものを背負っているらしいからな…。キクキリは?何処にやっているんだ?」 ゼンが消えた後には、長方形の黒い石板があった。馴れた手付きで、重長はその石板に話し掛けて居た。全ての輪郭がボヤけて… 今度は消えた筈の果心居士が石板に話をしている?成る程手強い相手であった。 歴史の闇に消えて行くもののけ、果心の本来の名前など泥のように水と融けていた。 ゼンが全てを呑み込んでいたのに、当の前にはわかっていない。 自分の中に暗黒の闇が潜んでいた事を認識していない。
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