58人が本棚に入れています
本棚に追加
錆(さ)びたフェンスをはさんで、「須佐乃男」を搭載した日乃元機甲部隊とウルルク共和国軍が対峙(たいじ)していた。勝負は一瞬でつくだろう。タツオはオモイに質問した。
「敵航空戦力の到着まで、どれくらいの時間がある?」
「敵管制官の命令を傍受。正面ゲートに飛ばした戦闘ヘリコプターを、こちらに回すようです。到着まであと90秒の予定」
タツオは叫んだ。
「敵の航空支援がくる前に、こちらが得意な白兵戦にもちこめ。乱戦になれば空爆は不可能になる。敵は火力に優れるが、スピードでは圧倒的にわが雲山改が勝る。戦闘においては正しい戦術と速力が、火力や兵力にはるかに優位にある。みんな、東島進駐官養成高校の教科書にあった戦争の法則を、今夜証明してくれ」
勢いのいい返事が跳ね返ってくる。
「了解」「了解」「了解や」
最初のコメントを投稿しよう!