29(承前)

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 錆(さ)びたフェンスをはさんで、「須佐乃男」を搭載した日乃元機甲部隊とウルルク共和国軍が対峙(たいじ)していた。勝負は一瞬でつくだろう。タツオはオモイに質問した。 「敵航空戦力の到着まで、どれくらいの時間がある?」 「敵管制官の命令を傍受。正面ゲートに飛ばした戦闘ヘリコプターを、こちらに回すようです。到着まであと90秒の予定」  タツオは叫んだ。 「敵の航空支援がくる前に、こちらが得意な白兵戦にもちこめ。乱戦になれば空爆は不可能になる。敵は火力に優れるが、スピードでは圧倒的にわが雲山改が勝る。戦闘においては正しい戦術と速力が、火力や兵力にはるかに優位にある。みんな、東島進駐官養成高校の教科書にあった戦争の法則を、今夜証明してくれ」  勢いのいい返事が跳ね返ってくる。 「了解」「了解」「了解や」
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