1/6
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/84ページ

 その者は飢えていた。  かつて絶大なる力を有し、その威光に人々は傅いた。  それが今やどうだ。  巨躯は見る影もなく細り、仄暗く陰鬱な場所に横たわるのみ。  ──欲しいなァ。  失ったかつての力が。  それを取り戻すための贄が。  飢えを紛らわすように、幾度目かの夢うつつにまどろむ。  ──ああ、だがやはり…あれが欲しいなァ。  □■□
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!