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ひやりと冷たい風が、首筋を撫でる。
思わず首を竦め、ぴったりと閉じられた障子を少し開ける。
寒暖差で曇った窓ガラスの向こうには、冬支度を済ませた立派な松の木が庭の主人のごとく鎮座している。
ちらちらと舞う雪が、松葉の先に落ちては積もる。
ずいぶんと冷えるはずだ。外は雪が降っている。
「…雪が降り始めましたね」
空模様を話している場合ではないのだが、如何せんこの場には気詰まりな空気が漂っている。
藤色の付け下げを身に纏った老女は、さながら坐像のように泰然と座っている。
老女に世間話に答える様子がないと見て取り、障子を閉める。
一畳分ほどはあるだろうか。大きな一枚板の座卓を挟み、老女の対面にどっかりと腰を下ろす。
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