一、知らせ

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「そうですね。出来れば、故人の家まで足を運んでいただけたら、と…」  永田の言葉に、皐月は頷く。 「わかりました。どうにかして都合をつけますので、今週末にでも伺います」 「では、先方には私の方から話しておきます」 「よろしくお願いします」  用意のいいことに、永田は大伯母の住所や地図を持って来ていたようで、クリアファイルに入れたそれを皐月に手渡す。 「日時を教えていただければ、ホテルの手配などもこちらでします」 「いえ、そこまでしていただくわけには…」  永田の申し出を固辞する皐月。 「それに、長居するつもりはありませんから。遺言状の開封が終わったら、お暇します」  キッパリと告げる皐月の様子に、永田もそれ以上何も言わなかった。  せっかく約束を取り付けたのに、撤回されては困るからだろう。  話がまとまったところで、今日のところはこれで切り上げることになった。  店先で永田と別れ、皐月は帰路についた。
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