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「…口に出しては、いけません。悟られてしまいますから」
能面のような佐久間の顔に、感情らしきものが浮かぶ。
緊張と、警戒。
そして、その声には焦りのようなものが感じられる。
「佐波様がおっしゃるには、この家は呪われているのだそうです。ずうっと昔から…」
「呪われている?」
それは、昨夜の巨大な蛇に、ということだろうか。
科学の進んだ現代において、なんとも非現実的な話ではあるが、今の皐月には納得するだけの材料があ。
己の見たことが未だに信じられないが、あのような 異形が現れるとなれば、その話には信憑性がある。
「詳しいことは、私の口からは申せません。と、いうよりも知らないのです。ただ、生前佐波様が後のことを頼まれた方がいらっしゃるので、その方ならご存知かと」
「その人は?」
「今日にでもいらっしゃるそうです。ですから、それまではこの部屋でお休みになられてください」
昨晩恐ろしい思いをしたばかりだというのに、この部屋に閉じ込められる。
そのことに皐月が嫌悪感を感じたのを察したのだろう。佐久間は「ご安心ください」と請け負う。
「廊下に控えていますので、何か起こった場合には私がお守りいたします」
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