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しかしだ。解せないこともいくつかある。
まずは母・弥生がこの家から逃げたというのに、今まで何事もなかったのは何故なのか。
選ばれていない者が当主の座につくと、悪いことが起こると佐久間が言っていたではないか。
確か永田から聞いた話だと、佐波の死に不審な点はなかったそうだ。
風邪をこじらせた末、肺炎で亡くなった。
若い頃に大病を患った影響で体が弱かったために、重症化したのだそうだ。
七十を超えての身であれば、なんらおかしな点はないように思える。
そんな佐波が当主の座についてから今まで、何事もなく過ごせたのは、おかしいのではないか。
(何か抜け道がある─ということ?)
もしそれが事実だとすると、皐月も同様に『呪い』から逃げられる可能性が高い。
(母のことは見逃しておいて、私をこの家へ呼んだの? 矛盾しているわ)
数十年も経って、皐月をわざわざこの家へ呼んで、『呪い』を蒸し返すような真似をしなくとも良いというのに。
それだというのに、これから来るという人物に何らかの対処を頼んだというのか。
佐波の行動には一貫性がないように思える。
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