三、忍び寄る

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『呪い』を遵守しようとする佐波。 『呪い』から逃れようとする佐波。 ちぐはぐな人物像に、一層皐月は混乱する。 相手はもうこの世にいない。その真意を確認する術は失われてしまった。 (ここで考えても仕方ないわ。佐波が呼んだという人に問いただしてみるしかないわね) いつもの倍以上の時間をかけてゆっくりと食事を食べ終わり、箸を置いた。 「皐月様。お食事がお済みでしたら、お茶をお淹れいたします」 佐久間が静かに言うのへ、「ありがとうございます」と答える。 自覚はなかったが、やはり空腹を感じていたらしい。 胃に物が入ったからか、いくらか気力を取り戻した気がする。 人心地ついたところへ、軽快な電子音が鼓膜を揺らす。 机の上で、スマートフォンが揺れている。 画面の通知を見ると、永田からの着信だった。
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