三、忍び寄る

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「皐月様。裏口から出ていかれた方がよろしいかと存じます。セツ様に捕まるといけませんので」 確かに佐久間の言う通り、セツらに見つかると面倒なことになりそうだ。永田へその旨を伝えると、 『じゃあ裏口へ車をつけます。では、後ほど』 永田はそう告げ、通話を終えた。 「佐久間さん。すみませんが、永田さんと話をしてきますので、少し出てきます」 「かしこまりました」  佐久間は頷くと、廊下に出て障子を閉める。  皐月が着替えと見越して、気を利かせてくれたのだろう。  手早く着替え、簡単に化粧をする。  本当は荷物一式を持って出たいが、大荷物で移動するのはいかがなものか、と考え思いとどまる。  貴重品の入ったハンドバッグとスマートフォンだけを手に、皐月は廊下へ出る。 「裏口まで案内していただけますか」  廊下に控えていた佐久間に、そう声をかける。  佐久間は頷き「こちらです」と皐月を促す。
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