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「皐月様。裏口から出ていかれた方がよろしいかと存じます。セツ様に捕まるといけませんので」
確かに佐久間の言う通り、セツらに見つかると面倒なことになりそうだ。永田へその旨を伝えると、
『じゃあ裏口へ車をつけます。では、後ほど』
永田はそう告げ、通話を終えた。
「佐久間さん。すみませんが、永田さんと話をしてきますので、少し出てきます」
「かしこまりました」
佐久間は頷くと、廊下に出て障子を閉める。
皐月が着替えと見越して、気を利かせてくれたのだろう。
手早く着替え、簡単に化粧をする。
本当は荷物一式を持って出たいが、大荷物で移動するのはいかがなものか、と考え思いとどまる。
貴重品の入ったハンドバッグとスマートフォンだけを手に、皐月は廊下へ出る。
「裏口まで案内していただけますか」
廊下に控えていた佐久間に、そう声をかける。
佐久間は頷き「こちらです」と皐月を促す。
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