四、派手な男

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「…確かに、金富家には一般的な考え方には捕われない方々が多いです。それはこの村も含めて」  何かを察したのか、永田はハンドルを握りながらつぶやき始める。 「300年ほど前に金富家の前身となる一族がこの地に住み着いたそうです。そして彼らは、瞬く間にこの地の頂点に立った」 「それからずっと、この土地を支配していると?」 「そうですね。言葉は悪いですけど、支配というのが一番しっくりくるかな。この村の人たちは、金富家の良い側面のことは話してくれますが、それ以外のことは決して口にしません。どこか恐れてもいる」  あくまで個人的な意見ですけど、と永田は締めくくる。  村の人々は、金富家が持つ「何か」に怯えている。    それは皐月が見た大蛇と関係しているのだろうか。 「ああ、すみません! つい、憶測でベラベラと…」  黙りこくってしまった皐月の様子に、永田は慌てて取り繕う。 「会ったことがないとはいえ、ご親類にあたるわけですし、気分悪いですよね」  すみません、と永田は詫びる。
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