四、派手な男

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 車を走らせること30分。  待ち合わせの駅に到着したが、人影はほとんどない。  駅舎の前の日陰に、柄も悪く座り込んでいる男を除いては。 「…あの人ですかね」  車のエンジンを切った永田が、躊躇うのもわかる。  原色をふんだんに使ったド派手な柄シャツに、穴の空いたジーンズ。  明るい金髪に染められた髪は、生え際が少し黒くなり始めている。  色の濃いサングラスをかけて座り込んでいる姿は、どうみても真っ当な職についている大人とは思えない。 「槙野さんは待っていてください」 皐月が何か言うより早く、永田は車を降りて男の方へ駆けて行ってしまった。 助手席の窓から様子を見守っていると、永田と男が二言三言話した後、連れ立って車まで歩いてきた。 永田の表情は、どこか不安げである。 (無理もないわね。オカルトめいたことの専門家だって言うから、もっと『ぽい』のを想像してたでしょうし) かく言う皐月も、勝手に年配の人だと思い込んでいた。 神社の宮司みたいな格好で、それらしい風体をしているものだという先入観が先走っていた。 そこへ来て、あの派手ななりでは、どことなく胡散臭く思えてしまうものだろう。  
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