四、派手な男

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「いやー、暑いのなんの。クーラーがありがたい!」  後部座席に乗り込みながら、男は感嘆の声を上げる。  見た目も相まってか、どこか軽薄そうな印象を受けるのは否めない。 「よし、ちゃんと連れ出してきたな、弁護士センセイ」  助手席の皐月を示して、男は揶揄するような口調で頷く。 「ええと、加賀美さん。このあと、どうすれば」 「とりあえず、どっか喫茶店とかない? 喉乾いちゃってさぁ」  『呪い』がどうのこうのと、割と尋常ならざる状況にあるのが分かっているのかいないのか。お気楽なやりとりに、皐月は脱力する。 「隣の市へ行けば、チェーンのカフェがいくつかありますけど。遠いですよ?」 「隣の市か……。そりゃ、まずいなぁ」 「まずい?」  男──加賀美は皐月を指し示し、「ずいぶん絡まっちまってる。あんまり猶予はない」と告げる。 「何が……?」  と、皐月は問い返すが、加賀美はそれには答えない。 「土地の人間の耳がないところ、あるかい? 感づかれると厄介なんでね」 
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