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 その者は飢えていた。  かつて絶大なる力を有し、その威光に人々は傅いた。  それが今やどうだ。  巨躯は見る影もなく細り、仄暗く陰鬱な場所に横たわるのみ。  ──欲しいなァ。  失ったかつての力が。  それを取り戻すための贄が。  飢えを紛らわすように、幾度目かの夢うつつにまどろむ。  ──ああ、だがやはり…あれが欲しいなァ。  □■□
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