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「...ん、りん」
あっ 寝ちゃってた!
ヒスイとお土産の買い物してたんだった。
パッと顔を上げたら、先輩がいた。
「えっ?」
向かいに座ってる先輩は
春より痩せてて、少し髪が伸びてる。
「迎えにきた」
どうして?
胸の中がどんどん鳴ってる。
なんか、眼の奥が熱い。
先輩はくしゃくしゃのメモの紙をテーブルに置いて、私に見せた。
メモにはヒスイの家の住所と連絡先が書いてある。
ニイの雑な字で...
「驚かせたかったんだ。
イタリアに行くって聞いてから、ずっと計画してた。驚いた?」
うん って、頷くけど
もう涙が止まらなくなってる。
「三日前に、やっと旅費が用意出来て
りんの家に行ったんだ。
いきなりお義兄さんに蹴り飛ばされて」
「えっ?!」
「“妹を不安にさせんな!”ってさ。
謝って、理由話したら
“さっさと行って来いやコラ”って
これ、殴り書きして丸めて投げつけられた」
ニイ... 嬉しいけどひどい...
「従兄弟のお兄さんが止めてくれて
“はじめまして”って、握手したんだけど
すげー握力でさ。
“これからよろしくね”って 笑ってたけど
なんか、びびったよオレ」
「.........」
「りん。手、出して」
まだぼんやりしながら右手を出したら
「反対」って言われて、左手を出す。
指輪、つけてくれて
「りんて、大切にされてるよな。
でもオレも大切にするよ。ちゃんと好きだ」
そんなこと言うから、顔を覆って泣いた。
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