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残されたオレは、観光地だというのに独りきりで 星空の中の奇妙な夜だった。 とにかく、ホストファミリーに心配はかけられないから、友達ん家に泊まるって連絡して そのまま その場に大の字に寝転んだ。 もう冬なのに、寒くない。 でも生きてるな、オレ 腹減ってきたし。 けど、動くのは面倒なんだよなぁ... 「見えたのか?」 「うわっ!」 飛び起きたし。 絶対、オレ 一人だったはずだ 声の主を探そうと、辺りを見回したが 誰もいなかった。 おかしい... いつものやつら... もう身体ないヤツとかが 話してきたにしたら、なんか生身すぎる声だ。 でも、人は誰もいない。 辺りには 視線を遮るものなんかない。 ちょっと離れたところに道路が見えるけど だだっ広い赤土の上。 近くから、声がしたよな ほんの隣からの声だった。 幻聴、とか? 「見えたんだな」 うん、幻聴でもないな。 なんなんだよ、もう。 「誰? 見えないんだけどー」 「おまえの心に語っている。 こちらからも、おまえは見えない」 なんだよ それ。 「先程、精霊から声が届いたのだ。 祝福を受けたな」 精霊? さっきの変なヤツらかな? 「祝福って、ぺたぺた触ってったこと?」 今 もし周りに人がいたら、オレって ひとりで喋ってるヤバイ子だよな。 そんなこと考えながらあぐらかくと、目の前に煙が揺らめいた。 それが白く凝って、人の形になり オレの前にあぐらをかく。 どうやら、ガタイは良いけど じいさんみたいだ。
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