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「なあ、女の子なんだぜ? 海外とか早くねー?」
そっぽ向いた ふたりに、かまわず言うと
「...だけど、母さんの故郷よ。
ロマーノのところに行くだけだし」とか
母さんが言う。
ロマーノ というのは、母さんの兄さんだ。
つまり、オレらの叔父さん。
叔父さんは、アメリカ人の奥さんがいて
オレと同じ歳の双子の子供がいる。
「ルカ、お前もアリゾナに行ったじゃないか。
半年は長かったぞ。
父さん達は、おまえのいないクリスマスと正月を過ごしたんだ」
父さんも言うけど
「オレは 男で ハタチだった。
リンは まだ17だぜ? 高校2年で... 」
「でも私、その頃のニイより
精神的には大人だもん」
あっ、こいつ...
サラダのチーズを口にしながら、さらっとリンが口を挟んだ。父さんも母さんも頷いている。
「二週間、サマースクールに行くだけよ。
私、鞄と靴に興味があるの」
「だから、高校出てからでいいだろ?」
「今 行きたいのっ!
ニイなんかアリゾナまで行って、ルチと遊んでただけじゃん!」
うわぁ、ムカつくぅ...
なんて言ってやろう って考えてたら
呼ばれたと勘違いした琉地が リンの隣に座り
リンが その頭を撫でる。
父さんや母さんには白い靄にしか見えないが
リンには 琉地が見えるんだよな...
「とにかくな、なんかあったら
オレ、イタリアまで行くからな!」
「なんかあったかなんて、日本から見えないじゃん」
もう、カッカして
最後まで無言で飯食った。
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