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******** 実家の二階。 今もあるオレの部屋で、従兄弟のジェイドと ネット通話で話をする。 『...ルカ。 竜胆も もう、そんなに小さくはないんだよ』 「えっ、何? おまえまで そんなこと言うわけ?」 スマホの画面の向こうは 昼過ぎだ。 ジェイドは イタリアにいる。 あっ、リンドウというのは リンのこと。 氷咲 竜胆 と 字面は男みたいだが、花の名前だ。 休日だというのに ジェイドは神父な格好をしている。 まあ、神父なんだけどさ。 ジェイドは神学校を出て、教会に入り そこからの推薦でバチカンへ。 エクソシストの養成講座を受けて、また教会に戻っていた。 格好のことを聞くと 『午前中はミサだったんだ』と言っていた。 ふうん、忙しそうだよなぁ... いや、それはともかく。 「ジェイド、おまえも実家にいないんだろ? 叔父さんも仕事があるだろうし リンは 誰が送り迎えするんだよ?」 ジェイドは、ふう とかため息ついてから まあまあ... と、オレを宥める。 アッシュブロンドの髪の下のブラウンの眼は 母さんやリンより薄い色をしている。 『うちの母さんもいるんだし ヒスイも竜胆が うちに来るなら、その間は 実家から仕事に通う って言ってたから大丈夫だよ。 僕も もちろん、竜胆に会いに 教会に休みをもらって 実家に戻るしね』 うん、そうか... ジェイドの話を聞いて ちょっと落ち着いてきた。
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