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息子の部屋には、外側から鍵がかけられている。
簡単に話を聞くと、様子がおかしくなったのは
一ヵ月くらい前。
夕飯の時間に自室から出てくると
ダイニングで失禁し、弾けたように笑い出した。
テーブルに飛び乗って、手掴みで飯を食う。
唖然としていた父親が我に返り、取り押さえるようとすると、ベランダから跳んで逃げた。
3階から跳んで普通に着地して走ったらしい。
警察に連絡して 息子は無事に確保。
そのまま病院へ。
錯乱状態だったので、すぐ入院になったが
三日前に ようやく落ち着いて退院した。
「良くなったと、思ってたんです... 」
まだ学校は休んでいたが
昨日まで、家では普通に過ごしていた。
今日の昼。
昼食を作ろうとした母親がキッチンに向かうと、冷蔵庫のドアを開けられていて、息子がその前に座っていた。
食材が床に散らばっている中で、生の魚の切り身を手掴みで食べていたらしい。
母親が名前を呼んで取り押さえると、逆に押し倒され、スカートに手を入れてきた。
堪らず、やめなさい! と 平手打ちすると
ポロポロと涙を流したが、また大笑いし出す。
会社に出ていた父親に連絡すると、すぐに帰って来て、息子と 一緒に息子の部屋に入り
母親に外から鍵を付けさせたようだ。
「じゃあ 今、お父様は息子さんと部屋に?」
「はい。息子がベランダから出ないように、と... 」
母親は、オレに説明している間に泣き出してしまった。ひどく くたびれた様子をしている。
オレは息子の部屋へ向かい、まだ殴音が響くドアをノックした。
「ドア 開けますよ、いいですか?」
息子の けたたましい笑い声に混じり
「えっ? 君は?」という
動揺した父親の声が、返事を返してくる。
「あなた、ごめんなさい。
専門の人に、相談したの」
オレの代わりに答えた母親の声に、父親は
「そうか... 」と、答え
「どうぞ、開けてください」と
疲れた声で オレに言った。
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