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******** チャージ料無しの 安いダイニングバーには 6人掛けのテーブルと4人掛けのテーブルをくっつけて、知った顔が座っていた。 「おっ、氷咲ぃ、遅せぇよー」 遅いも なにも、聞いたの さっきだしよ。 テーブルには 料理がいくつかと、人数分のグラスに それぞれの酒が入っている。 座っているのは、女5人に男4人... これ 「えっ、なんだよ、合コンみたいのかよ」 オレが言うと、里森...さっきオレに 声をかけたヤツが「まっ、座れって」と 強引に オレのシャツの袖を引いて 空いていた端の席、自分の隣に座らせた。 なんか、おかしいとは思ったんだよなー。 こいつらとは 週末飲んだばっかだったし 世間は春休みとはいえ、今日は平日だしさ。 「おまえ、何飲む? ジンにするか?」 里森は 勝手に決めてオーダーした。 その間に、里森の向こうに並んで座る男3人が テーブルの向かいに座る女の子達の機嫌を取っている。 女の子の ひとりは同じ高校だった山口だ。 この子に頼んで、他の女の子を集めてもらったっぽい。 ジンにライム搾って飲んでると 里森が 小声でオレに言い訳してきた。 「...悪ぃ、氷咲。キライだったよな こういうの。ひとり来れなくなってさぁ」 「知ってんなら呼ぶなよ」 オレは、女の子は好きだ。 いや別に、宣言することでもないけど。 けど、こういうのって なんか不自然な気がしておもしろくねーの。 気ぃ使いあって、品定めしてさぁ。 出会いがないから とか、よく聞くけど ないなら ないで 別に良くね? と思う。 「氷咲、なんか食うか?」 「食ってきたから要らね」 「おまえさ、ちょっとトイレ付き合えよ、なっ」 なんだよもう...
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