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渋々立って、男子トイレに入ると 里森は オレに両手を合わせてみせた。 「頼む、氷咲 黙ってニコニコしててくれ! そして目立たないでくれ!」 「なんだよそれ。 いうか 里森、おまえ 女いるよな? 一緒に住んでるんだろ?」 「いや、そうだけど... これは オレの合コンじゃないんだ」 オレの合コン て 何だよ。 「上村の切なる希望なんだよ」 上村 というのは、里森の隣 野郎共が5人座る並びの真ん中に座ってるヤツだ。 「あいつ、彼女いたことないだろ? 最近、ヒロちゃん... あっ、あいつの弟な。 その子に また彼女が出来てさぁ。 焦ってんだよ、切ないだろ?」 「オレも いねーよ」 27にもなってフラフラしてるしよ。 「好きでいない おまえとは違うんだよ! ものっすごい、欲しいのに いないんだ!」 「弟に出来たからとか動機おかしいだろ。 で、彼女がいない じゃなくて 好きな子がいないから 彼女もいないんだろ」 「正論かましてんじゃねーよ。 うぜぇな、いいから協力しろよ」 「なんだ、おまえ。 上村に悪いけど、ぶち壊すぞ」 「悪かった、氷咲。 ここは もちろん、おまえの分は オレが奢る」 「わかりゃあ いいんだよ」
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